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第2部 プロローグ
前略 須王楓様。
お元気ですか。私は元気です。
世間では終わりを迎える高校野球で盛り上がっていますが、そちらはどうでしょうか。田舎には帰りましたか? お父さんの田舎は長野なので、行きも帰りも大変だったと思います。
私は、とくに田舎に帰ることもなく、お盆休みは自宅でのんびり過ごしていました。夏期講習も連日あるしね。そもそも、お母さんが「休みたい」と言いながら、今日も笑顔で仕事に行ってるんですから。もともと、年中行事は一切無視するような必殺仕事人ですが、それでも最近異動があって、帰る時間だけは早くなりました。
毎日のように出勤する代わりに、帰りの時間が早くなったのは、うれしいような、あまりかわらないような。
夕食を毎日一緒に食べられるのは、たぶんとっても、いいことなんだと思います。
そんな夏休みも終わりに近づいて、夏期講習もなんだかまとめの授業が増えました。模試に向けての準備、というか。
勉強自体は嫌いじゃないし、塾も嫌いじゃないです。幸いにも、同じ学校の友達が受講しているので、
ここまで書いて、ペンを止めた。
同じ塾に通う学校の友達……笹本一樹くん。生徒会の選挙で少しお世話になって、二年で偶然にもクラスメイトになった。
思えば、四月の委員会決めのときに、くじ引きで文化祭実行委員になったことが始まりだった気がする。度重なる面倒ゴト――それは、まぁ私も悪いと言えば悪いとは思うんだけれども――のせいで、生徒会会計の笹本くんに甚大な迷惑がかかった。
そう、ここで特筆し、注意すべき点は、私は笹本くんに『迷惑』を書けた自覚はあっても、彼の仕事を一切手伝った覚えはない、と言うことだ。ほんとうに。
そんななかで、ついさきほどのこと。お盆休み明け初日の授業が終わった後、バスの中で。
私は人生初の、告白をされた。
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